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常に時代を先取りする<研究開発>をめざして。

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製品開発

日本ケッチェンでは、基礎研究や新製品の開発をトータルに推進できる研究開発体制を確立し、お客様が必要としている高性能の水素化精製触媒の開発を推進しています。

1. 灯軽油水素化精製触媒の開発

日本ケッチェンが開発した高性能脱硫触媒STARS触媒は、分解軽油や重質原料油の増処理、また長期運転を可能にしました。STARS触媒は商業化以来、その高活性と安定性をご評価いただき、世界中で多数の運転実績を積み上げてきました。

» 1-1. STARS触媒の特徴

水素化精製触媒の活性相は、ニッケル、コバルトおよびモリブデンから形成されるCo-Mo-S、Ni-Mo-S相であると言われています。これらの活性相は、担体との相互作用の大きさにより、“タイプ1”と“タイプ2”に分類されています。タイプ2の活性相はタイプ1と比べて高い水素化脱硫活性を示すことが知られています。STARS触媒の活性相はタイプ2が100%であるため、灯軽油原料油の超深度脱硫反応に対して極めて高い活性を有します。

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» 1-2. STARS触媒の活性点

左下の写真は、高性能コバルト・モリブデン系STARS触媒KF 772の透過型電子顕微鏡(TEM)画像です。長さが数nmの二硫化モリブデン超微粒子が観察できます。また右下の写真はSTEM-EDX像で、赤色の部分はコバルト、青色の部分はモリブデンを示しています。モリブデン、コバルトとも極めて高度に分散していることがわかります。

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CoMo系STARS触媒表面のTEM写真(左)、STEM-EDX像(右)

» 1-3. STARS触媒の活性

従来型コバルト・モリブデン系水素化脱硫触媒KF 752の容積基準相対脱硫活性を100としたとき、高性能STARS触媒KF 772の脱硫活性は、230~240と極めて高い活性を示します。KF 772の使用により製油所のサルファーフリー運転の高度化と経済性の改善に貢献します。

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2. 重質油水素化精製触媒の開発

常圧蒸留装置の残渣留分である常圧残油や減圧残油は、直接脱硫装置での水素化精製処理によって低硫黄重油の原料や流動接触分解装置(RFCC)の原料油となります。直接脱硫装置は脱メタル部と脱硫部からなり、脱メタル部では主として脱メタル触媒による脱メタル反応が行われ、残油中のバナジウム、ニッケルは通常、100ppm程度から30~50ppm以下まで低減されます。一方、脱硫部では、主として脱硫触媒による脱硫反応が行われ、残油中の硫黄分は0.5~0.3wt%以下まで低減されます。

» 2-1. 重質油脱メタル触媒の開発

重質油は原油の蒸留残渣であり、灯軽油留分と比べて分子量分布が広く、また産地によって性状が大きく異なっています。代表的な中東系や中南米系の重質油は、硫黄分やアスファルテンの含有量が多く、またアスファルテン含有量の高いものはコンラドソン残留炭素(CCR)及びバナジウム、ニッケル等の不純物金属を多く含んでいます。脱メタル触媒は、これらのアスファルテンの反応を細孔内で扱いますので、触媒組成と細孔構造の最適化が極めて重要です。脱メタル部での脱メタル活性が不十分の場合、下流側の脱硫触媒が不純物金属によって被毒され、脱硫活性が悪化してしまいます。そのため前段の脱メタル触媒には、高い脱メタル活性とメタル堆積許容量が求められています。日本ケッチェンの脱メタル触媒は、触媒の細孔構造と触媒組成の最適化により、高い脱メタル活性とメタル堆積許容量を有しています。

» 2-2. 重質油脱硫触媒の開発

重質油脱硫触媒は軽質油脱硫触媒と同様、高い脱硫活性が求められますが、重質油処理の場合、脱硫活性はコークの析出や不純物金属の堆積による被毒の影響を受けますので、脱硫触媒の反応性の制御により活性劣化を抑制した安定な触媒が必要です。日本ケッチェンの脱硫触媒は、活性金属の高分散化を図るとともに、触媒組成、細孔構造、担体表面性状の最適化を行うことにより高脱硫活性と耐メタル性の両立を図りました。

3. 触媒の解析

日本ケッチェンでは、下記の触媒解析装置群を使用して水素化精製触媒の構造や表面状態の解析を行い、新規触媒の開発に取り組んでいます。

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表面観察、表面組成の解析
(電界放射型SEM-EDX装置)

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金属種の分散度測定
(NOパルス吸着量測定装置)

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触媒表面の吸着種の同定
(フーリエ変換赤外分光光度計)

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固体酸性度測定
(アンモニアTPD測定装置)

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